この週末は疲れることは控えて、地元を離れずに過ごしている。歩いて出かけた104に新しくできた本屋さんは、なかなか素敵だった。おすすめの現代文学が見やすく並べられていたり、この秋パリの劇場でかかる演劇作品の書籍を場所と日程が書かれた帯をつけて集められていたりと、出会いや情報発信の場になっているのが嬉しい。
昨日は家で、ラモリスの『赤い風船』を観た。前に日本で観たときは、これってモンマルトルなんだと思っていた。けど今回観ていて、もっともっと下町の、20区側のベルヴィルあたりだなと気づいた。狭すぎる路地も、くずれかかった塀も、空き地も、今のパリには残っていない風景。くすんだ色の街に、真っ赤な風船がふわふや浮かぶ。まんまるで大きな風船をみているだけで、幸せな気分になってくる。子どもの頃、いわさきちひろの絵本で読んでいた時は、なんて悲しい話なんだと思っていたのだけれど、映画だとやたらかわいく、色とりどりの風船があまりに魅力的なので、ラストシーンまでずっと楽しい気分でいられた。主人公の少年が監督の子供だったのは、小学生にしては少年がちっちゃいのは、最後に風船で大空に飛ばすためだったんじゃないかなーと愉快に思う。あの撮影方法が企業秘密だと言い続けているのも、小さな子どもを風船で飛ばすなんて本来危険すぎて許されないことだったからなのでは、と思う。どんなトリックを使ったにせよ、映像に写ってることは、ほんとうにやったこと。天晴だ。