ワールドカップが終わってはや1週間。選手の皆様はとっくにヴァカンスに旅立ってしまいました。パリジャンたちもだいぶへってきて、静かになりつつあります。今年はひとまずパリに居残り、という我々に与えられた楽しみといえば、1、ラ・ヴィレットの屋外映画上映、2、運河沿いのパリ・プラージュ。というわけで、ひとあし先に始まった映画上映に行ってきました。
観たのは、今年の上映会の顔になったサンドリーヌ・ボネールが出ている『冬の旅』。日が完全に落ちないと映画が始まらないので(今は夜の10時半すぎ)、それまでみなピクニックしたりトランプしたりぼーっとしたり。この日は思ったより気温が下がって、フェススタイルと思ってTシャツにウインドブレーカー、膝掛け1枚、だったのだけどそれでも全然寒かった。映画の中も寒い風景ばかり。でもおかげで緊張感を持続させながら観ることができた。『冬の旅』はアニエス・ヴァルダの有り余る魅力や個性をも突き破って生まれた破格の傑作で、これまで相当多くのフランス人が観てきたであろう作品。その監督がどんな人でどんな映画を撮ってきたかとか関係なしに、ただただすごい、なんて人だ、ヴァルダもサンドリーヌも、と直で受け止められるというのは貴重に思う。そんな映画に、寒空の下をさまようモナに、サンドリーヌに、屋外で、こちらも寒い中、再会できたのは嬉しいことだった。