ノーマン・フォスター「恐怖への旅」1943年

またまた名画座アクション・エコールにて。ノーマン・フォスターなんて言われても建築家しか思い浮かびませんが、多忙なオーソン・ウェルズの代役をつとめた監督です。元々オーソン・ウェルズが中心となって用意されたサスペンス映画で、脚本はウェルズとジョセフ・コットン。出演者は「市民ケーン」「アンバーソン家」とかぶりまくりのウェルズ一家。ファニー叔母さん(アグネス・ムーアヘッド)が出てくるととても嬉しい。
全編にわたって延々とジョセフ・コットンが出てきます。いるだけでかっこいいです。ジョセフ・コットンと言えばヒッチコックの「疑惑の影」のチャーリーが印象的で彼のことをいつでもチャーリーと呼びたくなるくらいですが、これはその「疑惑の影」と同じ年に撮られたものでした。充実の時期です。この映画では殺し屋に狙われつづける役。その殺し屋が出てくるシーンがどれもかなりいいです。最高のレコード針とびシーンがあります。オーソン・ウェルズカーネル・ハキというトルコ人役で出てくる。トルコ語らしき言語をしゃべってた。やっぱおもろい。
http://en.wikipedia.org/wiki/Journey_Into_Fear
これを観てたらヒッチコックとトーキーになったあとのフリッツ・ラングが観たくなった。「M」はシネマテークで観られるけどその他、どこかでやらないかしら。
一週間後には同じ映画館でシュトロハイムの「グリード」がニュープリントでかかる。近くにある別の名画座Le champoではいまマルセル・カルネ生誕百年記念特集を超短期間ながらやっていて、映画業界の投票で「市民ケーン」と映画史上の1位を争ってきた「天井桟敷の人々」も日曜日に上映される。数多ある映画のなかでもこういうものが日常的にかかってるなんて、パリはすごいところだなと素直に思う。