脚本フリッツ・ラング「フィレンツェのペスト」1919年/独

原題「Die Pest in Florenz」。映画監督になる直前の、脚本家ラングの作品。監督はオットー・リッペルトという人。
むかしむかしの王様が出てくるようなサイレント映画はめちゃくちゃに展開する意味不明ながら楽しい映画が多い気がするのですが、こちらも全体的にハイテンションかつインモラルで、衣装もセットもロケもみんなごてごてごちゃごちゃものすごく、もしこれが当時の日本で公開されていたのだとしたら一体どんな反応があったんだろうと想像するだけで面白かった。
7部構成の96分。舞台は14世紀のフィレンツェ(でもロケはみんなドイツ?)。どんちゃんどんちゃん騒ぐのがなにより好きなひとりの美女をめぐって王様と王子が取り合う話、なのかと思いきや、とちゅうから山ごもり中の修行僧が登場して、よくわからないうちに美女と運命的な出会いを果たし、一緒に地獄巡りをした後、いつのまにか王子から略奪、王子はどこへ? そしてまた大勢の若者たちとどんちゃん騒ぎ、でも最後に元僧侶は我に返り、屋敷の外で蔓延していたペストを持ち帰り自分もろとも皆殺し。ペストの精が笑顔でステップふんでおしまい。