フリッツ・ラング「ニーベルンゲン 第二部 クリームヒルトの復讐」1924年/独

この映画で一番気になるのは、フン族の王エッツェル(アッティラ)がほとんどなにもしないというところ。壮麗な衣装を着たブルグントと比べたら明らかに野蛮なフン族の民衆がせっかく生き生きと描かれているにも関わらずだし、演じているのはロッゲ(=マブゼ)なのでとてももったいなく思う。あれだけの構図に対応したセットとあれだけの人数分の衣装をそろえただけでもう大変なことだとは思いますが…。
ともあれ今年最後の夜にシネマテーク・フランセーズにいられたのは嬉しかった。上映前の雰囲気もいつもと違ってみな昂揚した様子で、窓口の彼の笑顔も格別でした。パリではあちらこちらの映画館で連日いろんな映画がかかっているから常に見逃し続けることを覚悟しなければならないのだけれど、ここの充実ぶりは格別だし、その背後にはいつもラングロワを感じることができるし、シネマテークはパリのはずれにひっそりたたずむ映画の城というおもむきもあって大変気に入ってしまいました。来年は3日から。フォードの「わが谷は緑なりき」を観に行く予定。