ストローブ=ユイレ「モーゼとアロン」1974年/Autriche-Italie-Allemagne

シェーンベルクの未完のオペラの映画化。ということで一応あらすじ(http://www.d3.dion.ne.jp/~rulicon/moseundaron.htm)と、ついでにgoogleで出てきた中沢新一のインタビュー(http://subaru.shueisha.co.jp/html/person/p0206_1_txt.html)を読んでから出かけ、帰ってきてから今度は旧約聖書出エジプト記をささっと読んでみた。
まー面白い。ドイツ語の歌にフランス語字幕をまともに理解できたとは思わないけど、ほんとに面白かった。観る前まではこんなものがあるとは知らなかったのに、一度観てしまった後はここに表されたものがある世界にしか自分を置くことができない、というようなものを久々に観ました。
実現できるとは思えないことの実現、というのは、特撮で(または「しるしを行う」ことで)海を割ったりするのではなく、こういうことを言うのだね。まずはシェーンベルクが、さらにストローブ=ユイレが。監督2人の透けて見える人力作業の途方もなさにはみんなやられてしまうのでしょう。
聖書もまた全然ちがった意味で面白い。へんなことがいっぱい書いてある。神からあれこれ使わされるモーゼは相当な苦労人だと思われた。でも長生き。
それにしてもテノール歌手の突出した迫力といったらない。オペラのことをよく知らないままオペラを観ているといつもそう思う。ああいう風に1人抜きに出た感じは新鮮に見えるのです。