ジャック・リヴェット「Out 1 : Noli me tangere」1971年/仏

そして、後半の351分。昨日より50分短かったのでなんだかあっという間に感じた(笑)。苦行となることを覚悟していたのだけど、拍子抜けするくらい楽だった。あんまり気に入っていないポンピドゥーの上映室のイスに2日間で12時間も座らされていたのに。友達に会いに行くような感覚で観ていたからかも知れない。
折り返し地点にきて、それぞれの状況が少しずつかかわり合いながら動き出す。13人組の存在に気付いたフレデリックが行動開始。レオーはビュル・オジエのことで頭がいっぱいに。「テーバイ攻め」の劇団に新たに入った青年が、メンバーが賭け事で当てたばかりの大金を持ち逃げし、みんなで彼を探すことになって演劇の活動は停止。「プロメテウス」の劇団にはサラ(ベルナデット・ラフォン)が加わり日々の稽古に変化が現れる。
愛に関する素晴しい場面が2つ。ひとつはレオーがビュル・オジエに愛を告げようとするシーン。店にやってくるなりまずは1人で練習。でもそれをビュル・オジエは部屋の奥から聞いている。そして現れたレオーの前でビュル・オジエは、徹底して愛の空気をかき消す態度を取る。レオーは結局なにも言えない。そのときのレオーが、ビュル・オジエが、たまらなくいい。もうひとつは「プロメテウス」の劇団長トマが2人の女性と共に家でくつろいでいるシーン。片方は愛する恋人。もう片方も愛する友人サラ。いまそばにいる2人を同時に同じだけ愛していることを儀式的に表すトマ。ここ、4時間版では見られなかったなかで一番好き。
「プロメテウス」組もまた、サラの加入によってバランスを失い解散。映画はやがて、始まりとは全く違った状況へと至る。
13人組のメンバーたちがバラバラと海の家にやってきては去って行く。がらんとした大きな家。どの部屋にも必ず現れる彫刻。開かずの間が再び開かれると、イゴールからの連絡が入る。ビュル・オジエは夫の元へ。
ただ1人、なにも手に入れることができなかったレオーだけが、はじめと変わらない日々に戻っている。再びシャンゼリゼのカフェへ。
-
*昨日書いた記述に一カ所誤りがあったようなので訂正。劇団が準備してたのはかたっぽ(即興派)だけが「プロメテウス」で、もうかたっぽ(原始派)は同じくアイスキュロスの「テーバイ攻めの七将」だった模様。フランス語だと「Les Sept contre Thebes」だけどそんなの会話に出てきたかな。後半には原始派はわけあって早々に解散してしまって演劇のことがほとんど話題にならなかった。Wikipediaの記事にはお世話になりっぱなし。
http://en.wikipedia.org/wiki/Out_1