クリスチャン・マークレー展@Cite de la musique

うちからまっすぐ歩いていったところにある音楽博物館で、クリスチャン・マークレーという現代音楽家にして映像作家でもあるアーティストの展覧会を観てきました。
クリスチャン・マークレーについて:
http://homepage1.nifty.com/A-ito/VOID2/marclay/marclay_00.html
展覧会概要:
http://www.cite-musique.fr/francais/accueil.html
2001年にオペラシティでやった「汚名ーアルフレッド・ヒッチコックと現代芸術」展(http://www.operacity.jp/ag/exh19.php)にも参加していたこのお方、ターンテーブルとレコードを使った表現であれこれ楽しませてくれる一方で、映画のフッテージを使った映像作品を作っている人でもある。
映画好きの眼にも納得の映像作品を、現代美術の分野から探すのは結構至難の業で、しかも映画を使ってたりするとますます悩ましいことになりがちですが(それでもなんだかんだで気になって観てしまうのだけど)、この人は音の方を基調に作品を構成しているおかげでかなり面白く観ることができた。
なかでもすごかったのが、

  • 部屋をぐるりと取り囲む4面の大きなスクリーンに、銃を発砲する映画のシーンがコラージュされて延々と続くという作品「Crossfire」。鑑賞者はその部屋の中央に立って、または座り込んで鑑賞。クリント・イーストウッドブロンソンターミネーターランボーニキータ、ジャッキー、武といった俳優の顔がちらちらっとうつっては、銃口から激しい光と音が連続して発せられる。まさに四方からの銃撃戦。一瞬恐怖。でもすぐに快感に変わってその場を離れられなくなった。一回離れても、また戻ってきてしまった。これはなかなか大変な体験だった。
  • アンプにつないだエレキギター(赤のストラト)をトラックで引きずりながら音を出すというパフォーマンスを映像に撮った「Guitar Drag」。ギターは原初の叫びをあげ続けながら、どんどん削れてはげていく。コミカルなものとも受け取れる音と映像なのだけど、引きずられるギターは人体の代わりで人種差別についての表現だという。
  • 横1列に並んだ4つの画面から同時に映画のフッテージが流れる。ここではそれがどれも音楽のシーンなのでその名も「Video Quartet」。ピアノを弾く、ギターを弾く、ものを叩く、踊る、歌う、通りかかる楽団、ジャズの演奏、オーケストラの演奏、酒場のピアノ、1人ひっそり弾かれるチェロ(懐かしい「ショート・カッツ」だ)、などなどが4つ同時に動き、鳴る。同時に見えるもの、聞こえる音。その流れ。ちゃんと物語がある。それが14分続く。過剰すぎるけど、面白い。観てすぐ分かる有名な映画のシーンもたくさん混じる。多いのは4、50年代のハリウッド映画。でもマーティ・マクフライもいた(『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の「ジョニー・B.グッド」のシーン)。たまにWhoやジミヘンやジョニー・ロットンも登場して、好きなのね、と思う。

http://www.youtube.com/watch?v=9VmXoeZir7A
http://www.fogless.net/artreview/030730_wc_cm/marclay.htm