ジャン=リュック・ゴダール「Notre Musique」2004年/仏

午前中の運河mk2にて。邦題は「アワーミュージック」。
東京では公開初日にシャンテシネへ観に行って、赤いハーモニカをもらったのだった。2回目観ようと思ってたのにそのままだったので今日がその2回目。
同時代作家としてのゴダールが作る映画には、図らずもいろんな思いが流れ込んでしまい、映画を観てるのか別のものを観てるのかわからないくらいに観てるそばから頭の中で膨らんでしまっていたものだけど、あれやこれやの流れや現代社会への思いだとかも全部振り切ってパリへやって来て、なんの文脈も持たないような意味不明な日々の中で観ると、なんだかずいぶん気分よく観られた。
映画の側も、どっしりもっちりした映画!な画面ではなく、デジタルビデオで録られたみたいに瑞々しくてさわやか。それを浴びるように鑑賞。
当然ながら字幕がないのもまたすっきり。フランス語以外の言語も多く話されていたけれど、朗読の場面では字幕はなく、会話の部分にのみつけられていた。ということは、語られたことの多くを逃し続けることにもなる。
おかげでずいぶんすっきりさっぱりゴダール体験に。情報の洪水が、穏やかな小川になってくれたみたい。
映画の最後に至るのは、レマン湖のほとり(たぶん)。もはやあそこが天国だと言われても、納得してしまうよ。
3部構成の真ん中はサラエボが舞台。旧ユーゴスラビアを旅したばかりの友人たちに、ぜひ観てみてほしいと思った。ゴダールは確かにとっつきにくくはあるけれど、この映画の場合、よく観てよく聴いていけばその先できっとつながります。ただし冒頭10分、世紀の残虐映像のパレードには一応心構えを。登場するモスタル橋はまだ再建中の姿(ゴダールはそこへネイティヴ・アメリカンを配置)。爆破された時の映像もうつる。きっと前に観たときは、こういうところでも無闇に顔を引き攣らせていたにちがいない。今はもう少しだけ、世界とのつきあい方に余裕がでてきた。
http://www.godard.jp/

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明日はシネマテークメディアテークエドワード・ヤンを観ようと思ったら、DVDもビデオも所蔵してないことがわかった。そんなものか。ヨーロッパが近くなった分、アジアが遠いよ。