ジャン・ルノワール「捕らえられた伍長」1962年/仏

フランス語が難しかったけど、それでも観られてよかった。全体の3割ほどを占めたドイツ語には字幕は一切なし。「大いなる幻影」と同様、ドイツ軍の捕虜となったフランス兵の脱走を描いた作品。
最初の大雨のシーンから、ルノワールのシャルロ(とはチャップリンのこと)への愛情が溢れ出す。でもここでは「大いなる幻影」にあったお気楽さは全くみられず、希望があるとしたらそれこそ脱走のみ!という世界。とくに主人公の伍長さんにとっては。きっかけを見つけてはわーっと行く。を繰り返すこと数回。きびしいリアリズムの中でそこだけぱっと明るくなって、チャップリンの世界とつながる。最後の脱走の試みはその最たるもの。3人だったのが1人減って2人だけなんとか脱出成功。そしてついにパリ。別れの前にベルシーの橋の上で交わされた別れの挨拶は、なんだか「キッズ・リターン」みたいだった。ドイツ軍に占領されたパリを前に「これで終わりかな」、「いやまだ始まったばっかりだ!」って。
http://www.youtube.com/watch?v=D_OikONTK_0 (こちらはかの有名な、「俺たちもう終わっちゃったのかな?」「ばかやろう、まだはじまっちゃいねーよ!」です…。)
伍長役のジャン・ピエール・カッセル、いい顔だな〜と思ってみていた。ちょっと勝村氏を思わせる素敵さ。ヴァンサン・カッセルのお父さんだった。去年亡くなっている。遺作はというと、フランス映画史上最高の制作費を投入して作られながら非難囂々の「アステリクス」(オールスターキャストで撮ったバンドデシネの実写版)…!