ほんとだったら今日がピートのライブでそれに合わせて昨日戻ることにしてたのだけど中止は中止。ロイヤル・アルバートホールのポスターにも手書きで「Cancelled」。

1年半前に訪れた一度目のロンドンは、チェルシーのスタジアムでサッカー観戦したのと、テートモダンでカールステン・ヘラーの滑り台をすべったのとで大満足してしまったので、今回がほんとにちゃんとしたはじめてのロンドン観光。普段できないレコード屋巡りとか買い物とかもしたかったのだけど、一度は行かねばという場所に足を運ぶだけで4日間が終わってしまった。でもそれがとっても楽しかった。絶対行くべしと言われるにはそれだけの理由があって、それを一番実感したのはナショナル・ギャラリーと大英博物館だった。イギリス人が何を求め、何を考えてあれをあんな風に作り、今に至るまで無料で展示し続けているのかということについて少しだけ知り、そこからあれこれ想像するだけで感動してしまう。大英博物館の所蔵物については物議もあれど、どうも私にはルーヴルよりずっと開放的でなんでも気分よく受け止められた(のはなぜだろう)。ナショナル・ギャラリーの凄まじさはこれからゆーっくりと消化して、また訪れる機会をぜひとも作りたい。自分にとっては遠くにあると思ってた古い古い絵画の世界に、一気に近づけた気がしている。反対に物足りなかった近代絵画はパリにいればいくらでも親しめるので、そのバランスもまた有り難かった。エリカ・ラングミュアという方の単著である『ナショナル・ギャラリー コンパニオン・ガイド』の日本語版を買って帰ってきたのだけど、展示室の解説ともオーディオガイドとも全く違った内容で、これだけの時代と地域をまたぐ作品群を、研究の成果をふまえた知識と深い観察眼とによって一気に解説できる腕には唸りっぱなし。ナショナル・ギャラリーでは一点一点についての歴史資料の整理も見事なのだろうと想像される。学習院の先生による日本語訳も丁寧で十分満足できるレベル。ちなみにアマゾンでも買えます。

ナショナル・ギャラリー・コンパニオン・ガイド―日本語版

ナショナル・ギャラリー・コンパニオン・ガイド―日本語版