フランク・ボーゼージ『The River』1929年/米

ドイツEdition filmmuseumのDVDで鑑賞。
http://www.edition-filmmuseum.com/product_info.php/language/en/info/p59_The-River.html/XTCsid/bac552ff694a26ec8eaea79b04bea843 (英語)
20世紀FOXで発見されたフィルムは、サイレント版のオリジナル84分中43分分が鑑賞に堪える状態にあり、そこへスチールと説明文を合わせて55分の長さとなった、今のところの決定版として世に出たもの。どんなものかとドキドキしながら観てみたところ、最初にまず大きく抜けがあって全部説明で先へと送り、しばらく話が進む中でも途中でもちょこちょこ抜けがあったあと、最後の最後のクライマックスが、なかった。『The River』の『The River』たる部分と思われるあたりが完全に。それでも、ダムを建設中の山奥に斜めにずらっと並ぶ作業小屋と、自然の中を流れる河をセットで組んだ景観はすばらしく、いくつかの際立ったシーンを観ることはできた。DVDのジャケットにある、男の人が裸で水からあがろうとするくだりもそのなかに。中盤で一カ所、あらっと思うほどよい状態で残っていたフィルムの中に見所のひとつがみられたのには、奇跡的な神々しさがあった。あとは想像で補う限り、ない部分にこそかなり劇的なドラマがあったはずで、ムルナウ『City girl』と重なるキャスト3人(ほんとはもう1人いるけれど動いているところには全く出てこず)についても、そこが観たかった!という部分が欠落。前に、やっぱり不完全版のドライヤーの『むかしむかし』を観たときは紙芝居状態でもかなりスチールが残っていて大興奮で観られたのだけど、この映画の場合はスチールの数がそこまでそろわず。ので、マニア向けの状態ではあるものの、DVDにはムルナウボーゼージのドキュメンタリー(英語ではボーゼーギと発音してました)と、初期短編が3本、pdf資料がいくつかついてるので、損はさせないよという作りではあった。
でもまあ、こんな写真をいくつもみてしまったら、それでも観ずにはいられない、というものか。
http://www.theauteurs.com/notebook/posts/217
ドル安の今のうちに、でたばかりのFOXのムルナウボーゼージセットもあったら…とも思うが(てかこれにも『The River』入ってるっぽい)、Amazonのコメントを読んだら箱に問題があってディスクが傷だらけとあった…。
http://www.foxclassics.com/essay.php?id=murnauborzage