バルセロナの旧市街と書店

狭く複雑に入り組む路地が特徴的な、バルセロナの旧市街を歩くのはいつでも楽しい。なにせパリではそういう路地は危険だ(革命に利用されやすい)というので、オスマンの時代に取り除かれてしまっているものだから、古く危ないものが残っているなという感じでわくわくする。と同時にちょっと緊張も。なのであまり写真は撮ってない。旧市街と言える部分はけっこう広くて、その中でもいくつもの地区に分かれている。名前だけ書くと、リベラ地区、ボルン地区、ゴシック地区、ラバル地区、とある。観光気分で歩くならまずはゴシックとボルンから。だけど個人的には、少し前までは結構治安の悪い地区であったと言われるその雰囲気を残しつつ、最近できたようなお店がたくさんあって若々しいエネルギーの集中している、リベラ地区とラバル地区が楽しい。とりあえず、靴屋さんがやたらある。パリにはない、スニーカーだらけのお店もたくさん。そしてラバル地区には素晴らしい本屋さんがある。昔教会だった建物を使った、La Central del Raval(http://www.lacentral.com/nosaltres?site=raval)。天井が高くて、棚が見やすく、品揃えも感動的で、スペイン語カタルーニャ語、フランス語、英語の本が並ぶ。フランス語の本がそのまま一緒に混ざっている棚も多く、値段もフランスで買うのとそんなに変わらない。いいとこ取りして自分たちの本と同等に扱うことで、最強のセレクションが完成、といった風。本屋さんというならもう1件、旧市街からは少しばかり北に出たところにある、Laie(http://www.laie.es/)のPau Claris店もいい。フランス語と英語の本も扱っているのはこちらも同じで、より専門性が高そうに思えた。偶然見つけたときには感激しすぎて、まともにスペイン語も読めないのに、いきなりお気に入りの場所になった。どちらの本屋さんも、複数の美術館に出店していたり、カフェを出していたりと、街のあちらこちらで活躍中なのだった。Laieの方はレストランまでやっている。こういういいお店が街にあるなら、それだけで安心して住んでいられるなーと思う。スペインでは今も、文学文芸作品が本屋の主役であることにもほっとする。装丁もフランスのものより丁寧できれいなものが多い。あとはただ、スペイン語が理解できさえすれば…。