MO'FO'10

日曜は、パリの外で100%インディ音楽フェスティバル。長く記憶にのこりそうな夜になった。
http://www.mainsdoeuvres.org/article751.html
まず会場がとてもよかった。夜歩くとまるでバラックな、クリニャンクールの蚤の市の脇を抜けたところにある、Mains d'oeuvresという名の文化施設が今回初めて行った目的地。古びたビルをあまり手を入れずスクワットみたいに使っていて、パリの中心ではなかなか得られない雰囲気。中へ入ってぐるぐる歩いてみたら、展示スペース、レジデンス、階段、廊下、バー、ロビー、フロア、トイレ、シャワー、喫煙所、レストランと、蟻の巣の中みたいにいろいろ出てきた。お酒片手にふらふらしてるだけで、はやくもいい気分に。気に入る場所はたいていパリの端かそのちょっと外にあるというのはもう確実。
インディ音楽のショウケース的フェスティバルは夜7時から真夜中まで。お目当ては3つ。ひとつめは、日本からやってきたトクマルシューゴ氏のソロライブ。タカミネのエレアコと歌+笛、集中力とはやわざ、全曲全力で、すごかった。最後の方でウクレレに持ち替えての「ラジオスターの悲劇」でやっと、隙のなさすぎる演奏をすこし緩めてくれたのも感動的で。でもそれも計算ずくか。へなちょこパリジャンの前で、見事にただ者じゃなさを発揮してくれました。拍手。
お次は、そこにいるだけで涙ものだった、Take it easy hosptal。バフマン・ゴバディの映画で主演した2人が、バンドを抜け出しデュオで来てくれました。映画では、輸入文化であるロックバンド活動をイラン国内では禁じらている状況のなか、それでも秘密裏に音楽活動をしようとしているテヘランの若者達として描かれていた。現在彼らはロンドンを拠点にしているようだけれど、国との関係はおそらく映画そのままなのだと想像される。映画の続きはこの現実世界で。外へ飛び出しての希望の音楽は力強く響いた。 彼らのライブのあとでレストランスペースにて休憩していたら、2人がすぐ脇を通ったので笑顔を向けると、とびきりの笑顔を返してくれた。魂の交流。どうか彼らの笑顔がいつまでも消えませんように。
大トリには、イギリスのカルトバンドTelevision Personalitiesが出てきた。さっきまでそこらへんをふらふらしてたおっさん、元アル中薬中で投獄もされ時にはホームレス状態にもあったという、ダン・トレイシーが70年代末からやってるバンド。アラン・マッギーがクリエイションを立ち上げたきっかけでもあるという。たしかにジャンキーの音楽なんだけどそこには永遠の若さがあって、青年期から変わらぬ調子でやってるようなその姿には信じがたい神々しさがあった。チューニングもあやういダンエレクトロで、早々に一本弦が切れてもおかまいなしに、今時だれもやらないようなシャランシャランした音作りで、基本コード弾き、ほどよくへろへろな歌、でも時間の限り歌と演奏が次から次へと切れ目なしに続く。一度もメジャーで活動したことがなくとも、ずっと誰かしらに愛され続けてきた音楽に間違いなかった。
http://www.myspace.com/shugotokumaru
http://www.myspace.com/takeiteasyhospital
http://www.myspace.com/tvpersonalities