Filmer les camps: John Ford, Samuel Fuller, George Stevens

マレの南端にある、ホロコースト記念館(Mémorial de la Shoah)を訪ねた。そのような施設がパリにあると知ったのは、今年のアウシュヴィッツ解放記念日シラク元大統領が訪問した映像がニュースで流れていたのを目にしたときのことで、サイトをひらくとランズマンの講演の映像が出てきた。それで一度訪ねようと思っていたら、そこで今『Filmer les camps: John Ford, Samuel Fuller, George Stevens』という展覧会が行われているという。
さっそく出かけたついでに足を運ぶと、入り口で警察署同様のチェックがあった。ドアの外で待たされて、3人ずつ入っていいよと言われるまでドアが開かない。いったん入ってしまえば入場無料なので施設内を自由に歩くことができた。2階に特別展、半地下にクリプト、その下に常設展。
映画の展示は、スティーヴンスが撮影しフォードが編集してニュルンベルク裁判へ持っていったという収容所の映像についてや、フラーが従軍していた時に偶然持っていたカメラで収容所解放時に撮影し、その後の映画にも影響を与えたことなどが一応核となっていて、プロジェクターやモニターで短く編集された映像がところ狭しとあちこちに設置されているのを観ていくというもの。フラーがファルケナウで使用したカメラ、『最前線物語』の時のカチンコやアイディアノートもみられた。スティーヴンス撮影の映像は連合軍が解放したドイツ南部の収容所、ダッハウで撮られたもので、展示ではマチュー・アマルリックによるナレーションがついているものもあった。ダッハウへは1999年に行ったことがある。すでに無いものも多かったのだけれど、遺体を焼く窯や一度も使われなかったガス室が残っていて、映像の中に出てきたものが自分が現地で見たものと同じだとすぐにわかった。映画の上映はイベントとしてホールで行われていたようで、例えばフラーの『ファルケナウ』を全編流すようなコーナーは展示内にはなかった。
地下の展示を観る前に、クリプトを通る。ダビデの星の形をした記念碑、ヘブライ語で聖書の言葉が書かれた壁、天井の明かり取りもダビデの星。モダンで荘厳な空間。常設展には、時系列に遠い過去から現代までのユダヤ人迫害の歴史を追った展示が資料、映像織り交ぜて続く。ランズマンの解説付き『ショアー』抜粋映像や、生き残った人たちの証言映像なども。丁寧に見ていたらきりがないので、とにかく一周歩いてみた。
なす術無く死んでいった人たちの顔に、そこにあったはずの誇りと知性を強く感じながら思うことはいつも同じ。まだまだ学ぶべきことはたくさんあるし、人間の世界をよく見つづけることを怠ってはいけないなということ。そこから一気に日々の反省へとつながる体験。家の向かいのユダヤ人学校の少女達も、毎日本当によく勉強しているのだろうと思うとますます…。
http://www.memorialdelashoah.org/upload/minisites/filmer_les_camps/en_index.html (展覧会サイト/英語)