今回のワールドカップ期間中、一悶着あった末グループリーグで姿を消した現役Les bleus以上に活躍しているのが、98年組Les Bleus。どの試合を見ても必ず誰かが解説か実況をしている。TF1ではリザラズ、ルブフが現地入りして、スタジオにはピレスとバルテズ。France Télévisionsのスタジオにはプティがつい数日前まで出ずっぱりだった。そんなこともあって、98年のワールドカップフランス代表を追ったドキュメンタリー『Les yeux dans les bleus』を観た。CANAL+制作で、NHKでは『トリコロールたちとの日々』というタイトルで放送されていたもの。トルシエの時にNHKがロッカールームの真実という番組を作ったのは、これのまねしたものだったということも同時に知った。
98年当時。アンリとトレゼゲと同年生まれの自分にとって2人の他のフランス代表選手達は立派な大人であった。それから12年。ほとんどが年下となった今、もうなんだか選手達の性格やら振る舞いやらが手に取るように分るなあと思いながら見てしまう。カメラに困惑ぎみの若い2人、純朴な田舎の兄ちゃん風情のジダン、自分は賢い人間なんだぜと宣伝して歩いてるような(でも愛嬌のある)テュラム、冗談好きなリザラズとプティ、リーダーらしく力強い言葉をみなにかけつづけるデシャン、ほんっっとに人の良さそうなバルテズ、プレッシャーや故障に苦しむデュガリー、まだかわいいピレス、今とあまり変わってないルブフ、たいていの選手は音楽といえばポップスかヒップホップかというところで、クラシックを好むプティ、テュラムはイメージ通り読書好きで床に落ちてる本すら気になる、性格もルーツも興味も生活圏もバラバラの若者たちを誰にでもずばっと届く言葉でまとめあげる監督エメ・ジャケジョルカエフ、ブラン、カランブーはこの映像を見る限りではおとなしい印象。ほとんどがロッカールームやホテル、練習場での風景なので、なにも身につけていない選手がいることもしばしば、なんていう見所も。まあとにかくいい時代だったと。そしてこのドキュメンタリーには、おそろしいことに、2000年版、2002年版もある。