2003年に観た映画で印象的だったもの
製作年はいろいろです。今年映画館で観たものから選びました。
D・W・グリフィス「ドリーの冒険」1908年
屋外で撮った古いモノクロフィルムのキラキラ感はたまらないものがある。これが映画というものか!という新鮮な喜びの記憶もいっしょにフィルムの上に焼きついてるみたいでワクワクした。
カール・ドライヤー「サタンの書の数ページ」1919年
グリフィスの「イントレランス」に影響受けて撮ったとパンフレットなどでさんざん書かれているけれど、大作映画が撮れるだけの環境にこの頃からドライヤーがいて、それが実行できるだけの実力があったというところになにより驚いた。ドライヤーというのは映画狂にばかりうける特殊な存在なのではなく、デンマークでは本当に偉大な人だったのですね。
カール・ドライヤー「むかしむかし」1922年
むかしむかしあるところにわがままなお姫様がおりました、というノリの冗談みたいに楽しい映画。現存するフィルムはだいぶ欠けたものしかなく、後半はスチール写真をつないだ紙芝居でわけがわかんなかったけど、かなり好きな映画だった。
カール・ドライヤー「ミカエル」1924年
人間の絶対的な孤独を強烈に描いた作品。最後にドーンと重いものがくるドライヤー映画はここから始まった。画家の名前が「クロード・ゾレ」というのはちょっとギャグっぽくて好き。
カール・ドライヤー「グロムダールの花嫁」1925年
ドライヤーってのはこんな活発な映画が作れる人だったのか!というまたまた驚きの映画。主人公が激流に流されていくシーンなどを見ると、一人果敢にハリウッド映画に挑戦して、しかも大成功を納めてしまったドライヤーを想って感激する。すごい力量。わけがわからない。
カール・ドライヤー「あるじ」1925年
初期ドライヤーの最高傑作! 小気味よすぎる! そしてこのあたりで、ゴダールにとってドライヤーが相当大事な映画監督であったことを確信。それがデンマークからやってきたアンナ・カリーナにほれたことと関係あるかどうかは知らないけど、なくもない気がした。アンナ・カリーナの不満顔は映画に値すると思ったかも知れないから。
カール・ドライヤー「怒りの日」1942年
この映画はもうほんとにみたまんまなので、とにかく「必見」としか言えない。誰かさんではありませんが。
カール・ドライヤー「ゲアトルーズ」1964年
そうしてドライヤー先生は、映画の神の一人となったのでした。というわけで、この映画が今この東京で何週間にもわたって上映されていることはほんとにすごいことだと改めて思う。ブレッソンもこんなふうに上映される日が来るのだろうか!?
チャップリン「サーカス」、「街の灯」、「担え銃」、「独裁者」
チャップリンの映画への魂の込め方は本当に尋常ではないのである。いくら尊敬してもしきれない。
ゴダール「愛の世紀」2001年
死ぬまでにあと何回観ることになるんだろう! きっと何度観ても違う感激があるに違いない映画。
ファスビンダー「四季を売る男」1971年
両親に対してものすごいオブセッションを持つ男のぶざまさ。すごい恐い。
ファスビンダー「ペトラ・フォン・カントの苦い涙」1972年
若く美しいカーリン(でもそれを演じるハンナ・シグラは果てしなくイモくさい)に狂うペトラ。すごい恐い。
ファスビンダー「ブレーメンの自由」1972年
夫に抑圧されている妻が、自由を求め夫をはじめ次々と人を殺す話。ファスビンダーはバイセクシャルだけどメトロセクシャルでもあることが判明。
ファスビンダー「少しの愛だけでも」1975年
またしても両親に対するオブセッションが強い男の話。またしてもぶざま。
ファスビンダー「シナのルーレット」1976年
ブルジョワ夫婦とそれぞれの愛人と娘が別荘で一堂に会してしまうという、その気まずさをのぞき見して楽しむ映画。だいたいファスビンダーの映画はどれも気まずい。ゴダールの映画に出ていた頃からは少し年をとったアンナ・カリーナはムーミン谷のミーに似た、魅力的な美女だった。
マノエル・ド・オリヴェイラ「家路」
年老いたミシェル・ピコリに乾杯! 孫のお弁当は毎日フランスパンのサンドイッチ!
ペドロ・アルモドバル「トーク・トゥ・ハー」
ブラボー!
ウディ・アレン「スコルピオンの恋まじない」
ブラボー!
ニキータ・ミハルコフ「機械じかけのピアノのための未完成の戯曲」
なんだかんだ言ってすごい良かった。
ピーター・ジャクソン「ロード・オブ・ザ・リング」、「二つの塔」
ありがとう。
北野武「その男凶暴につき」
どいつもこいつもキチガイだ! すごい面白かった!