ジャン・ルノワール通り

ところかわってこちらは再開発地区ベルシーに去年引っ越してきた、かの有名なシネマテーク・フランセーズ

エッフェル塔のおひざもと、ベルシー宮にあったものをたたんで、去年の秋にここで営業を再開しました。
ぐにょぐにょな建築をつくることで有名なフランク・ゲーリーのつくったこの建物は、もともとアメリカンセンターという名の施設でしたが一瞬で閉鎖。長らくそのまま放置されていたものが晴れてシネマテークとして復活しました。
この新シネマテーク・フランセーズは今とてもよい状態にあるようで、充実したプログラムやイベントを同時多発的に次々と送りだしてくれています。創設者アンリ・ラングロワの精神にいまいちど立ち戻り、この機関の使命や方針を迷いなく確認した上での再出発であったことがとてもよく伝わってきます。
館内に上映ホールは4つあって、それぞれアンリ・ラングロワ、ジョルジュ・フランジュ、ジャン・エプスタイン、ロッテ・アイスナーの名前がつけられています。一番大きいのはアンリ・ラングロワの名前がついた部屋で、落ち着いた雰囲気のホールも、ほんとにりっぱで大きなスクリーン(開くときの動きがすごくかっこいい)もとても素晴しいです。今月末には図書館も完成予定。1階にはレストランもこれからつくられる模様。
通い始めて実感したのは、地球広しと言えども映画の総本山はまちがいなくここだなということ。東京の街で、自宅のビデオで、あれこれ映画を観てきた日本人の私にとっても、映画の先生は結局アンリ・ラングロワだったんだなあと思うことしきりなのです。
気になる料金体系は、映画一本につき一般6ユーロ、学生5ユーロ。意外と高い。ですが年間パスというのがあって、それが月10ユーロ。2本で元がとれます。銀行引き落としなので、フランスで銀行口座を持っているのが会員になるための唯一の条件です。
今はしばらくジョージ・キューカージャック・ドワイヨンを特集していて、来週からはドイツ表現主義特集とフレデリック・ワイズマン特集。ラングとムルナウがなんでも観られます。笑いが、とまりません…。

ちなみに、シネマテークの裏の通りは、ジャン・ルノワール通り。ここがアメリカンセンターだった時代にすでについていた名前なので、なにかの因縁でしょうか。すぐ近くにはフランソワ・トリュフォー通りもあります。このシネマテークが開館して最初の特集上映はジャン・ルノワールでした。観たかったけどきっとまたちょこちょこやってくれるはず。

シネマテークフランセーズ http://www.cinemathequefrancaise.com/