ジャン・ルノワール「黄金の馬車」1952年/仏・伊

シネマテークにて。原題は「Le carrosse d'or」。ルノワールの専門家の方の解説付き。映画は英語版だった。これがオリジナルのよう。それぞれの作品についての逸話を読むたび思うけど、ルノワールほどの人が一体どれだけ苦労をしながら映画を撮っていたのか。むかしBSでやっていたのをビデオで観たのがフランス語版だったか英語版だったかはまったく覚えてなかった。
こちらへ来てこれが初ルノワールルノワールは誰よりも大好きな映画監督。でもしばらく観ていない映画がほとんどで、いま改めて観ることがこれまでの熱狂の記憶にどうかぶさってくるのかすこし不安に思っていた。
けど映画がいったん始まってしまえば、もうこれが誰のなんていう映画だとか考えること自体がもう全く無意味でつまらないことになった。赤い幕にヴィヴァルディの音楽が重なるオープニングから心揺さぶられ、気がついたらルノワールの映画でだけきまって現れてくれる至福のときのなかにいた。なにがこんなに幸せにさせるのか、またしてもよくわからないのだけれど、最後の最後のアンナ・マニャーニの台詞、表情、そしてTHE ENDと出たころにはもう言葉のひとつも出ないような状態。映画を超えたなにか、としか言いようのない素晴しさでありました。
ルノワールについて、淀川先生のお言葉。
http://www.magazine.co.jp/features/movies/yodogawa/1041renoir/home.html