バフマン・ゴバディ「Half moon」2006年/イラン

シネマヴェリテ映画祭の一コマ、行ってきた。ロードショー済みの映画だったからか、大きめのホールに20人くらいしか観客がおらず残念だったのですが、監督は笑顔でやってきました。こないだキアロスタミの通訳をしていた美女がまたいる、と思ったら、キアロスタミ本人も笑顔でそこに…。ゴバディにとってキアロスタミは師匠。師匠もとんでもないけど、弟子もまたすんごい。
映画は2回目。やっとちょっと落ち着いて観られた。クルディスタンの荒々しい自然のなかで、なんでもないことを必死にしゃべるオヤジたち、魔法のかかったような映像空間にしか登場しえない女性たち、芸術の立ち入る隙を与えない軍人と、遠くからひびく銃声と音楽とが入り交じる世界。そして忘れ難い登場人物たち。老いた音楽家マモに、バンドを運ぶバスの運転手カコ(しまいにゃトルコ人に髪の毛まで強奪された!)。明らかな悲劇と、厳かに希望を求める喜劇。ゆっくりじっくり受け止めたいと思う。