アッバス・キアロスタミ「ホームワーク」1989年/イラン

あるテーマのもと複数の人に意見をえんえんと聞き続けるというのは、「Hommage aux professeurs」とか「Cas no1, cas no2」でもみられた手法。今度の相手は小学1年生。「家で宿題やってる?」「やらないとしかられる?」「誰からどうやって?」とキアロスタミが直接子どもに問う、という場面を設定して、子どもたち一人一人を真正面からカメラで撮影しております、という様子を丸ごと見せる。
子どもの答えから、親の世代には文字が読めない人が多くいること、宿題をやらないとベルトで打つ親も多いこと、そしてある子は空爆によって家を破壊されイラクに恨みをもっていることなどが観る側に伝えられる。イランイラク戦争時に育った子どもたちであった。