吉田喜重『戒厳令』1973年/日

これ以後しばらく映画から離れたのは、自分が映像で表現したかったことをこの映画を撮ったことでやり尽くした、これ以上のことはもうできないと思ったからだったのかも知れません、という監督の言葉に導かれ、冒頭よりひどく緊張した画面に感じた興奮が、しかしながら次第に薄れていったのは、2・26事件に対する不勉強、または三国連太郎への違和感ゆえか。それでも貴重な映画であることは間違いがないと思うけれど。