フリッツ・ラング『無頼の谷』1952年/米

マレーネ・ディートリッヒ主演の西部劇。西部劇には同時代の監督同士それぞれに工夫を凝らし競い合っていたような側面があると思うのだけど、フリッツ・ラングみたいな人が有り余る才気を使ってひょいと撮ってしまえば、そこここに面白い着想がみられるから本当に面白い。たとえ低予算でへぼいセットでもちっとも哀れじゃない。どれだけの苦労があっても、映画は立派だ。タイトルと、劇中と、ラストとで何度かかかるテーマソングで「♪オールド・ストーリー・オブ・ヘイト、マーダー・アンド・リベ〜ンジ」(それがこの映画の全てと最初から分かる)と歌われているのもたまらなくよかった。♪チャッカラック、チャッカラック。