エリッヒ・フォン・シュトロハイム『クイーン・ケリー』1929年/米

伝説の未完成作…。先に『メリー・ウィドー』『結婚行進曲』をつづけて観ていてよかった。ヨーロッパのとある国で、女好きのプリンスが結婚前に下層階級の娘に一目惚れ、というパターンはほぼ同じ。出会い〜再会〜夢のごとき一夜〜辛い別れ、が1セットで、『結婚行進曲』ではそこまでをじっくり全力で撮っておしまい。『メリー・ウィドー』と『クイーン・ケリー』ではそこから盛り上がっていく後半にて、商売女になった娘とプリンスの行方を描くことになる部分が、大変残念なことに『クイーン・ケリー』では見届けることができず、字幕で処理されてTHE END。『メリー・ウィドー』のときは後半のメイ・マレーがとってもよかったんだけど、途中で逃げ出したグロリア・スワンソンではシュトロハイムの世界を完成させるには最初から難しかったのではと思った。
残るは4時間版『グリード』のみ。『愚かなる妻』も観ておけばよかったな。いっぺんに観る機会はやっぱり貴重。今日の音楽は打楽器+パーカッションによるものでした。