パトリモワーヌの週末

よく晴れて陽気の戻ってくれたこの週末は、ヨーロッパ・パトリモワーヌ(文化遺産)の日でした。国や地域が守りつづけてきた文化遺産、パリ周辺では主に建築物の、普段は入れないような奥の方へ、一般の人も入れてもらえるというのが売りの催しです。人気のあるところは大行列ができ数時間待ちだったり、小規模なところでもガイド付きツアーのため結構待たされたりと、観る方もそれなりに気合いのいるイベントでもあります。私は、土曜日に、パンタンというパリの隣町にある元粉引き所へ、日曜日には、リヴェットの『恋ごころ』にも出てきたアルスナル図書館へ、見学に行ってきました。天気がよかったので、写真をたくさん撮りました。

これはラ・ヴィレットのはずれにあるテント小屋。運河沿いをてくてく歩いて多少迷いながらパンタンへ。

大銀行に買い取られ、リノベーション中の元製粉所(グラン・ムーラン)は、ウルク運河沿いにあります。工業地帯であったパンタンの街にとっては、その工場建築や設備がパトリモワーヌ(産業遺産)ということで、建物の外観や内部中心に置かれた巨大釜などは、できるだけもとの姿をとどめる形での改修工事がなされていました。建造された19世紀末〜20世紀初頭としてはかなり大規模かつ最新式の工場だったようで、少数の作業員と24時間動き続ける機械によって製粉作業が進められ、ここから世界各国へとフランスの良質な小麦粉が輸出されていたとのことでした。

こちらはパリ4区、バスティーユ近くにある図書館。19世紀には作家ノディエが住んでて文学サロンも開かれていたという場所で、閲覧室の奥にはいくつか豪華な部屋も残されていました。そのうちの2部屋は最近壁を塗り直して今年10年ぶりに再公開。さすがにきれいでした。この図書館が所蔵している書籍はかなり古い時代の印刷物や手稿など。専門家のための図書館なので、普段用事のない私でも、この日は堂々と入れたというわけでした。