2年間パスがそろそろ切れそうなポンピドゥーへ久しぶりに展示を観に行く。終了間近のスーラージュ展と、女性アーティストの作品ばかりを集め常設階に置いているelle@centrepompidouと。外は寒かったけれどよく晴れていたので、エスカレーターのチューブをのぼるとくらくらした。フランスの現代絵画の世界ではスターのような人だと思われる、スーラージュの回顧展は大盛況。濃厚な、粘りと艶のある黒で表現された、抽象的な絵画の群れの中を歩く。主に最近の作品では、平面に描かれた黒の線は立体的で、自分が動けば作品の発する色形も変化する。出口近くの壁上方にあった作品は、出口へと近づくにつれ、外から入りこむ光の中で黒が白く輝き出し、はっとするような美しさをみせていた。elle展の方は、作品はがらりと入れ替わっていながらも、これまでの常設展のみせ方、空間の作り方を踏襲していて、あまり目新しい体験に感じられなかったのが残念だった。その中でも、ナン・ゴールディンの写真にビョークの音楽がついたスライド作品と、ピピロッティ・リストの床に映し出された映像が、無難だけれど目をひいた。さて来年度のパスはどうしようかな。どこの文化施設も予算が厳しくなっているようで、ポンピドゥーでもシネマテークでも年間パス料金に加えプログラム代が別につくようになった。