モンパルナス散歩、春の祭典

本日は左岸を散策。ダンフェール・ロシュローまで下り、ダゲール通りを歩く。月曜日の午前は閉まっている商店も多く、活気のある姿が見られなくて少し残念だった。けれどその分は直後に挽回。ここが浜辺になったとこだよ、と言ってアニエス・ヴァルダの家、そして向かいの編集スタジオの前に着くと、スタジオの方に「Ouvert(開いてます)」と出ていた。ひょいとのぞくと、半分白くて半分赤い頭が目に入った。C'est vous Agnes!! ここに来て本人がいたのは初めてのこと。そしたらちょうどアニエスが入り口から出てきて、挨拶。入る?と言われてスタジオ見学。昨日別の大陸のとある国から帰ってきたばかりで、そこで撮った映像を編集しているのよと言う。静かに作業をしている大きな男性が2人。アニエスはとてもご機嫌で、日本から来た母のために、写真を撮るなら窓際の明るいところでねと提案してくれた。いったん自宅に戻るアニエスと一緒にスタジオを出て、またねと言ってお別れ。
わーよかったね!と2人で話しながら歩いていたら、目の前にモンパルナス墓地があったので、ジャック・ドゥミにも挨拶に行ってきた。植物に囲まれ、大きな松ぼっくり(すぐ隣に木がある)で飾られた、きれいなお墓。それからラングロワ、デュラスにも。
墓地を出て、ラスパイユ方面へ。辻邦生が住んでいたという通り(『勝手にしやがれ』撮影の地でもある)を歩き、カルティエ財団まで行ったらお休みだったのでガラス越しにのぞき、また引き返して、ランチのお客さんでにぎわっていたヴァヴァン通りのカフェでひと休み。暖かくなったので、久々にステック・タルタルを食べる。一軒一軒違う味付けの料理で、ここのはケチャップが多めだった。すぐ脇ではマダムたちが巨大なステーキを仲良く食べていた。リュクサンブール公園を抜け、もう一件の辻邦生の家まで行ったところで、今日のコースは一巡。一度帰って休憩。
夜は、家から近い郊外のダンスセンターにて、ライムント・ホーゲ。見るのはこれで3作目なのだけれど、大変感銘をうけた1つ目、それに比べるといまひとつだった2つ目のあとで、大変気合いの入ったストラヴィンスキーの『春の祭典』ホーゲ版。これは新作ではなく2004年の作。あの音楽の中、たった2人で作り出されているというだけで、ものすごいものだった。タイトルは仏英混合で『Sacre - The rite of spring』。riteには儀式という意味もあったはず。ホーゲ氏のダンスには日本の伝統的な儀式や様式の中の作法が取り入れられていて、それを素早く見て取った母は、お茶のお手前の作法が入ってた!と、とても驚いていた。最後の方では、ピナ・バウシュへの思いも何か込められているように感じられた(ホーゲ氏はピナ・バウシュのタンツテアターにいたお方)。よいタイミングでよい作を見ることができて、なによりだった。