フィッツジェラルド『グレート・ギャツビー』村上春樹訳

友達があげると言ってくれた『遠い太鼓』をぱらぱら読んで、そのまま春樹の小説が読みたい気分になったものの、手元にはこの翻訳作品しかないからということで、なんの期待とか感慨もなく読みはじめたところ、とんでもなくよかった。この小説を、今ぐらいの年齢で、村上春樹訳で読めたというのが、どれだけ恵まれてて幸せなことか、、、と、最初のページからはやくも思いながら一気に読んだ。あとがきまで素晴らしかった。もうとっくに読んだよという方も多いと思いますけれど、まだの方、とくに同世代のみなさまには、だまされたと思ってとにかく読んでみて、とだけ言わせて。つぎ本屋さん行ったらこれ探してね。私は原書を探しに行きます。

グレート・ギャツビー (村上春樹翻訳ライブラリー)

グレート・ギャツビー (村上春樹翻訳ライブラリー)

書き出しの第一章がすごくよいので、今読むべきタイミングかどうかはちらっと立ち読みしただけでわかるはず。実際のとこ私は物語の始まる前に引用されたこの4行でノックアウト、だったな。

もしそれが彼女を喜ばせるのであれば、黄金の帽子をかぶるがいい。もし高く跳べるのであれば、彼女のために跳べばいい。「愛しい人、黄金の帽子をかぶった、高く跳ぶ人、あなたを私のものにしなくては!」と彼女が叫んでくれるまで。
―――トーマス・パーク・ダンヴィリエ