litterature

フィッツジェラルド『グレート・ギャツビー』村上春樹訳

友達があげると言ってくれた『遠い太鼓』をぱらぱら読んで、そのまま春樹の小説が読みたい気分になったものの、手元にはこの翻訳作品しかないからということで、なんの期待とか感慨もなく読みはじめたところ、とんでもなくよかった。この小説を、今ぐらいの…

エミール・ゾラ『獲物の分け前』1871年

映画以前、フロベール以後に位置した小説、ゾラの『獲物の分け前』(ちくま文庫)を読んでみた。古いパリが一気に新しいパリに文字通り作り替えられていく、ナポレオン三世/オスマン時代を生きた人々の欲望のぶつかり合いで、ものすごいバブルのパリが描か…

ペレック

ただいまの人生の友。600ページ近くあり、読み終えられるかは甚だあやしいですが、今のところとても面白く読めています。La Vie Mode D'emploi (Ldp Litterature)作者: Georges Perec出版社/メーカー: Distribooks Inc発売日: 1980/02/01メディア: マスマー…

les chiens aboient, la caravane passe

オザケンのアルバムタイトルは、ジッドから教えてもらったというカポーティの言葉を引用したのだろうけど、 「アラブのりっぱなことわざにもあるように、《犬はほえても商隊は進む》ですよ。」この引用をしたあとで、ノルポワ氏は口をつぐんで私たちを見つめ…

語学学校へ通わなくなって以来、フランス語の学習とは別に、フランスの文学作品を翻訳で読む時間が取れるようになりました。パリにいる間にあれもこれも読んでおきたいと当初より意気込んでおりましたが、フローベールが一段落したところで、そろそろ今しか…

あこがれドンキホーテ

お金と時間の節約のため、今学期はソルボンヌへは通わず、自分で勉強を続けています。バカロレアの試験を受ける高校生のための読本を使った学習を思いついたので、数冊買ってきました。まずはギュスターヴくんです。

それよりなにより、引き続きフローベールなのでありますが、その話はまた!

ジュリアン・バーンズ「フロベールの鸚鵡」1984年

かつてイギリスで、フローベール「純な心」に取り憑かれた人が書いた本。これは楽しくてしょうがない。 原書はホックニーのLoulouとフェリシテの絵が表紙。この絵を家に飾りたいです。 http://www.julianbarnes.com/bib/fp.html フロベールの鸚鵡 (白水Uブッ…

E.T.A.ホフマン「黄金の壺」1815年

内容がほとんど思い出せないけれどかつて亀の子文字のドイツ語で読んだのはこれだったのかも…。と、昨日の夜眠れぬ頭のなかで思い至る。日本語で読んだときには冒頭2ページの描写に恐怖してそれっきりだったこの本を、フランス文学経由で改めて読み直したの…

ネルヴァル「火の娘たち」の続き

「シルヴィ」を読み終えたところで、「アンジェリック」とつづけて出てきた意外にパリから近いいくつかの地名に思いを馳せること1日。行ける範囲でさっそく木曜日にでも行ってみることにしました。北駅から電車で30分、さらにバスで25分。かつて日々通って…

ジェラール・ド・ネルヴァル「アンジェリック」(「火の娘たち」ちくま文庫収録)1854年

長らく手元にありながらなかなか読まなかったこの本を、リヴェットの後を追うようにして読み始めた。一刻も早く原文で読みたいけれど、まずは日本語で。その一遍目。想像してたのと全然違って、のんきで滑稽で身近な視点を持ちつつ多彩な文章。とても好きで…

ギュスターヴ・フローベール「純な心」1876年

Loulou......................... http://www.bunkamura.co.jp/shokai/gallery/060913auction/images/david.jpg

トーマス・マン「ファウストゥス博士」より

ここに、現代の経験から生じた大胆な考察を挿入して置く。悟性の光を愛する人は、『民衆』という言葉と概念には常にある古代的な、恐ろしい要素が含まれていて、人々を煽動して反動的な悪に誘おうとする時には、『民衆』という言葉で呼びかけさえすればよい…