シネマテークにジェフ・ミルズ登場

4月になり、シネマテークではセシル・B・デミルの特集がスタート。2日目の夜の今日は、早川雪洲が出演していることで知られる無声映画『チート』(1915年)に、ジェフ・ミルズがリアルタイムで音楽をつけるという上映がありました。何年前か忘れたけれどジェフ・ミルズフリッツ・ラングの『メトロポリス』に音楽をつけたと知ったときには、どうにかしてその場にいたかった!とどれだけ思ったかわかりませんが、まさかまさかシネマテークでこんな貴重な機会に立ち会えることになるとは、と、喜び勇んで行ってまいりました。
白っぽいスーツ姿で登場したジェフ氏(極細)は、スクリーン真下のピットに用意されたブースにスタンバイ。約60分という短い尺のなかでテンポよく展開する映画に音楽をつけるのは難しいことだろうと思ったのですが、場面ごとに用意したトラックを(CDJ4台使って)迷いなく次々つないでいておりました。ジェフ氏の映画に対する理解については、シネマテークディレクターのトゥビアナ氏も絶賛。ジェフ氏を初めて知ったお客さんにも、この人のものすごさは伝わったのではないかと思われました。映画を尊重した音の流れのなか、ここぞというところではアップテンポな曲も飛び出しました。シネマテークの音響設備もなかなかで、くぐもったシンセの音に身を浸しているだけでだんだんたまらない気分に…。と同時に映画の方も、昔ビデオで見た印象を完璧に覆す盛り上がりで、かなり楽しめました。
こう思い入れ深いものが2つ重なったら一体どうなってしまうのだろうというドキドキハラハラな夜でしたが、自分の映画音楽人生が凝縮された、でも私ももういい大人なので無駄に浮つくことはなしに、幸せな時間が過ごせました。