Laurent Cantet『Entre les murs』2008年/仏

今年のパルムドール。C'est un film tres tres emouvant!! とても感激しながら観てきました。公開から1週間が過ぎても、平日夜10時からの最終回なのに大にぎわいだったmk2にて。1週目の興行成績は1位だった模様。素晴しい。幅広く観てもらうための考慮からか、耳の悪い人へ向けた字幕が小さな文字ながらついていたのも有り難かった。
映画の舞台となった公立中学校は歩いていける場所にあり、原作で描かれていた中学なんてうちから目と鼻の先。身近な場所で生活している人たちの物語として、今のパリの一部が描かれたものとして、かなりダイレクトに伝わってきた。アフリカ系、中国系、アラブ系の子供たちのまざる教室で(ユダヤ系の人たちは私立の学校に行くからここにはいない)、日々体験している言葉に関する苦労だとか、それぞれに理由があってパリに住むいろんな国の人たちが入り交じった語学学校とも重なる。子供たちの親が出てきた時には、これこそnos voisins(ご近所さん)だよ!と思って泣けた。みんなまじめにひっしに暮らしている人たちだと思っての、涙。同時に笑いも共感もたくさんあったし、日本みたいに抑圧的な教育がいいとも思えないから、ますますむずかしいと思ってしまうのだけれど。子供たちの自然な様子もとってもよかった。全員でもらったパルムドールに、あらためて拍手! 彼らがその辺りを歩いていたら、駆け寄ってしまいそうだ。
(追記)タイトルを書くべきところに監督の名前をいれてました。訂正。壁の中で、という意味です。こちらの学校はどこも分厚い壁で守られています。ちなみに主役の先生役の人が原作者で、中学校では毎週水曜日の授業がない午後に撮影をしたのです。でてくるのは自由に参加を希望した学校の子供たち。Avant premierは学校から一番近いガンベッタのmk2で9月にやっていたそうです。
(さらに追記)水曜日にやってたのは映画を撮るまでの準備作業で、撮影は去年の夏に7週間、週5日、1日6時間でやったそうでした。まーとにかくエスメラルダがグレイトなのでどうかみなさま公開をお楽しみに。