2010年7月のピート

7月7日の夜は、家の近くでピートのライブ。20時会場で前座がひとつ、のところは観ずにぎりぎりまで家にいて、ワールドカップ準決勝の立ち上がりを見届け、前座はさいあくであったとの(予想通りの?)一報を目にしてから、21時頃いざ会場へ。きちっとした場所だからか、ピートもきっちり出てきた。時間のロスなしでピートのライブが見られるなんて、もはやつまらなく思えてくる。けどやきもきももう大変だからまあよかった。ライブの機材は、VOXのアンプにつないだエレアコ一本。アンプの上には赤ワインのボトルとグラス。曲によって、バレエダンサーが2人登場する。クラシック用のホールなので音がほんとにきれいだった。照明に照らされたピートもとてもきれい。やっぱり特別な人だなと思う。映像でも音楽データでもない、ピートが歌を歌ってギターを弾いてるその時間空間だけにある光と空気の中で、胸がいっぱいになる。リバティーンズ時代からデモバージョンしか出回っていないような曲の中にもかがやくような名曲があって、後半フランス語の歌詞でも歌われた「Smashing」、はじめて聴いたけどものすごくよかった。あのスタイルでなら新しい曲がいくらでも沸き上がってくるというのではどうやらなくて、長い間にちょっとずつ生み出された曲のなかから好きなものを選んでずっと演奏しているということらしい。この日は約1時間の短めセットだった。次はいつになるだろう。

今回のワールドカップ期間中、一悶着あった末グループリーグで姿を消した現役Les bleus以上に活躍しているのが、98年組Les Bleus。どの試合を見ても必ず誰かが解説か実況をしている。TF1ではリザラズ、ルブフが現地入りして、スタジオにはピレスとバルテズ。France Télévisionsのスタジオにはプティがつい数日前まで出ずっぱりだった。そんなこともあって、98年のワールドカップフランス代表を追ったドキュメンタリー『Les yeux dans les bleus』を観た。CANAL+制作で、NHKでは『トリコロールたちとの日々』というタイトルで放送されていたもの。トルシエの時にNHKがロッカールームの真実という番組を作ったのは、これのまねしたものだったということも同時に知った。
98年当時。アンリとトレゼゲと同年生まれの自分にとって2人の他のフランス代表選手達は立派な大人であった。それから12年。ほとんどが年下となった今、もうなんだか選手達の性格やら振る舞いやらが手に取るように分るなあと思いながら見てしまう。カメラに困惑ぎみの若い2人、純朴な田舎の兄ちゃん風情のジダン、自分は賢い人間なんだぜと宣伝して歩いてるような(でも愛嬌のある)テュラム、冗談好きなリザラズとプティ、リーダーらしく力強い言葉をみなにかけつづけるデシャン、ほんっっとに人の良さそうなバルテズ、プレッシャーや故障に苦しむデュガリー、まだかわいいピレス、今とあまり変わってないルブフ、たいていの選手は音楽といえばポップスかヒップホップかというところで、クラシックを好むプティ、テュラムはイメージ通り読書好きで床に落ちてる本すら気になる、性格もルーツも興味も生活圏もバラバラの若者たちを誰にでもずばっと届く言葉でまとめあげる監督エメ・ジャケジョルカエフ、ブラン、カランブーはこの映像を見る限りではおとなしい印象。ほとんどがロッカールームやホテル、練習場での風景なので、なにも身につけていない選手がいることもしばしば、なんていう見所も。まあとにかくいい時代だったと。そしてこのドキュメンタリーには、おそろしいことに、2000年版、2002年版もある。

収穫


在りし日のじゃがいもくん。一番元気に育っていた頃。

またある夕暮れ時のじゃがいもくん。

また別の日の夕暮れ。
この数日後には冷たい強風にあおられてぼろぼろになってしまい、黄色くしおれた姿をみかねて、今日こいもを収穫しました。

全部で10個。やっぱり赤い。数日乾燥させてみて、食べるかどうか考えます。

これは在りし日のとある広告。すでに撤去済み、のはず。

書きたいことがなかなか書けてないので、走り書きの箇条書きで。
先月末〜今月頭のカンヌ映画週間 in Parisはほとんどいけず、オリヴェイラの新作だけ観ました。またも19世紀の小説世界的な様式で、世界の西の端から幽玄美を届けてくれています。東の端の国の人にはそれはそれはたまらない表現になっていると思います。あの内容だと前作のように短めでもよかったなとも思いましたが、かといって無駄があるようにも思わなかったので、そのじゅうぶんな尺をもって無事配給されることを祈ります(前作は64分、今作は94分でした)。
今月13日、シネマテークでのテヘラン映画デーで、憧れのマルジャンに会うことができました。『ペルセポリス』の作者です。サイン会に並んだら、少しだけ話もできました。テヘラン映画関係者(フランス在住の人含む)がずらりならんだ座談会では、みな話し好きでユーモアと人間的魅力にあふれていて、祖国が厳しい状況にありながらも笑いあり涙ありの対話に、イランのインテリ階級の底力を感じました。
今年はじめてのジャン・ヴィゴ鑑賞は、映画館にて『新学期 操行ゼロ』。これまで長い間、この世紀の傑作を観てなにか感じない人なんていないだろうとずっと思い込んでいたのですが、これだけ映画全体で、とにかく新しいことをやるんだ、詩的、美的、映画的、なんでも革新的、破壊的、快楽的に!とうたっている作品が、そうそう誰にでも届くものではないのかも知れないと、この日はじめて思いました。と同時に、これがいつの時代も古びることなく、新しいファンを獲得する可能性のある作品であることもまた感じてもおりました。
先週水曜日、ジュネーヴ近くの劇場で、ゴダールとの討論会がありました。その時のビデオがここでみられます。http://www.tsr.ch/info/culture/2130327-godard-presente-film-socialisme-a-paris.html さらに次の日の木曜日、今度はパリの映画館で同じような会が、ネット新聞Mediapart主催でありました。Mediapartは去年そこのジャーナリストの方と知り合って以来購読しており、これは我々も行かねばということで、行ってきました。『Film Socialisme』の上映後、ジャン・ドゥーシェアニエス・ヴァルダも会場入りしての、討論会。大入りの大盛況でした。これもMediapartとarteのサイトでビデオが見られるようになるはずなのですが、まだ準備できてないようなのでそのうちリンクします。
続く土曜日には、バルザック記念館にて深田晃司監督の中編作品『ざくろ屋敷』の上映会がありました。これがまれにみるよい会で、バルザックを原作とし、絵画によって物語られるこの映画について、原作を深く愛し理解している人々から絶賛の声があがっている様子は、なかなか感動的なものがありました。この監督の作品には、多少不満に思う点があったとしてもそれはいったんさておいて、やたらにほめたくさせるものがあるのですが、これもまさに。シナリオも丁寧でよく練られているし、映画のなかの時間・空間の推移と音楽の使い方が抜群によくて、すっかりたっぷり感じ入ってしまいました。
腹筋トレーニングはまだまだ続いています。あまりの効果に、完全にビフォー/アフター状態。いままでがひどすぎたのだなと、反省しています。
1日1リュミエール」、3つばかり新作載せました。暑い日におすすめの、すずしげな映像です。
ポール・ウェラーの2000年のLIVE DVD&CDがたった2ユーロでなぜか本屋で叩き売られてたので、捕獲しました。名曲ぞろいのLive at the Royal Albert Hallです。まだ若くてかっこいい!

待ちに待ったワールドカップが始まり、普段よりTVの前に座る時間が増えたことを利用して、バランスボールのエクササイズに取り組んでいます。去年今年と続けて古いジーンズがやぶけてしまい、かわりに新しく買ってあったジーンズをはくにはどうしてもウエストのサイズを一回りくらい細くしなければならない、という理由があってのことです。
それではじめて5日目くらい経ったところ、やってびっくりみてびっくり、ものすごい効果が出始めています。まだ問題のジーンズを1日中はけるまでには至っていませんが、これまで普段着ていたものでも腰回りの様子が全然違っています。要するに、筋肉が発達したおかげでいままで前に出ていた胃や腸が内側へとおさまって、かつ背筋も伸びて、格好がだいぶましになったみたいなのです。お腹いっぱいご飯を食べてもお腹がふくれなくなりました。このままあと1週間も続けたらどんなことになるのだろうと、楽しみで仕方がありません。
せっかくなのでどんな運動をしているかを書いておきたいと思います。用意するものは、体格に合ったバランスボールとヨガマット。1つの動作は20回1セットとして、1日の間に2セットくらいやればいいのではないかと思っています。
1:バランスボールに座って、片足ずつ上げ下ろしを繰り返す。簡単な動作ですが意外とお腹にふるふるくるので充実感があります。この運動は普通のイスに座っていても出来ると思います。
2:ヨガマットに仰向けになり、両足の膝下をバランスボールにのせた状態で、お尻を上げたりおろしたり。上げたとき首から下が真っ直ぐになるように。両手は体の横に平行に。
3:膝下をバランスボールにのせたまま、上半身をおこす。手は頭の後ろに。いわゆる腹筋の動作。普通に腹筋をするより無理がなく続けやすいです。
4:寝転がった状態で、両足にバランスボールをはさんで上げ下げ。手は頭の後ろに。このなかでは一番きつい運動なので回数は5〜10回。
5:バランスボールに座り、ボールを背中の方に少し転がして、ボールの上に背中を倒し、またもとの姿勢に戻る。両手は真っ直ぐ前にのばす。
こんな感じです。ウェブでみかけたものを参考にしつつ、半分自己流ですが、よかったら試してみてください。

Them crooked vultures at zenith

デイヴ・グロールジョン・ポール・ジョーンズに声をかけてつくった夢のバンドのライブ。重量級のミュージシャンがお互いに緊張感と興奮を抱えながら遠慮なく演奏している姿は、想像以上に感動的だった。ドラマーにもどったデイヴ・グロール、本当にかっこよかった。JPJはまだ手加減しているかも知れないけど、すでに64才、それでやっと釣り合いがれるほどのものすごさなんて超人的だなあ。手にするどの楽器もみたことないような特製のものばかりで、かっこいいの。何弦張ってあるかわからないベースとか、光るスライドギターみたいなのとか。フジロック初日に行く人は、とにかくお見逃しなく!
ライブ会場にはツェッペリンのTシャツを着た男性多数、会場までの道のりで誰かが歌ってるのが聴こえてくるのもツェッペリン。けど個人的にはデイヴ・グロールがドラムを叩く姿を目に出来たことが思いのほか嬉しかったので、ちょう久々にLive! Tonight! Sold out!を。大人になった目でみなおすと、ああそうだったかと分ることも多い。誰の真似もしないで生きようとしていたカートが、世界中のキッズに憧れられて真似された、なんてほんと、かわいそうだけど、なにやってもかっこよかったんだからもう仕方ない気もしてしまう。私も今さらながら左でギターが弾いてみたくなった。

Villette Sonique 2010

近所の音楽公園で今週ずっとやっている電子音楽のお祭りにて、続けざまにライブを観てきました。そろいも揃って伝説的なミュージシャンだったので、衝撃を受け止めるのにしばし時間がほしいところですが、今はひとまず簡単にメモを。
最初に、アート・リンゼイのライブ。直前まで三宅純氏とイタリアツアーに行っていたのでこの日も競演してくれるかなと期待していたのですが、残念ながらそれはかなわず。天才というか変態というかという風貌で、うっとりするような歌を歌っているかと思いきや、12弦エレキをぐきぐきとかきむしるアート・リンゼイ、繊細でひかえめな音のなかに沸き立つ躍動感に、鳥肌のたつような瞬間が何度も。ホールの音響設備も素晴らしく、感激もひとしおでした。
続けて、一体なんて組み合わせなんだと思いましたが、ヤング・マーブル・ジャイアンツが出てきました。30年以上前のアルバム『コロッサル・ユース』から次々と、スタイルも変えずに演奏。歌声も全然変わってませんでした。どの曲も同じようにポコポコとリズムが刻まれて始まり、ギターがテケテケと入り、涼しげに歌って、唐突に終わる。ライブでやるとこんな感じか! かわいくていちいち笑っちゃう! ギターのおやじも英国人らしいクールなユーモアたっぷりで、技術がなけりゃセンス一発勝負、でもそれこそが最高、という世界がちゃんと温存されていて、そのあっけらかんとした感じがたまらなくよかったです。
興奮冷めやらぬまま、その次の日。音楽公園の奥には科学館があって、そこの施設の一部であるでっかい球体にて、マニュエル・ゲッチングの宇宙的ライブ。パリで演奏するのは34年ぶりと言っていました。見た目はいまやなんだかただの頭良さそうなおじさんなのに、演奏する曲はテンポの速いきれいな電子音で、そこへさらにプログレギターがのるという。スティーヴ・ヒレッジのライブみたいだなーと思ったら、ヒレッジさんも会場に来ていました。あはは。客層は圧倒的におやじ率高かったです。そこは180度スクリーンがある最大級のIMAXシアターで、音響設備がこれまた優れており(世界唯一の12.1ch、だそう)、空間設計も気合いが入っていて、徹底して非日常的な体験が楽しめました。
と、こんな豪華なのに、ここの音楽公園は助成金の賜物なので、チケットがすごく安くて、行かないと絶対に損するような催しものになっています。土日にはフリーの屋外フェスがあるので、晴れたらピクニックの予定。